ワールドビジネスサテライト,5/21,金曜フォーカス,自給100%石灰の可能性
日本には全国に5000ヵ所ほどの鍾乳洞がありまさに石灰列島だ
実は
石灰は鉄鋼産業を支える重要な鉱物
資源小国ニッポンで自給率100%の石灰
その実力と可能性に迫る
千葉・君津市
新日鉄 君津製鉄所
生産ラインはフル稼働だった
船や大きな建物や高級ラインパイプの材料になるという
09年 鉄鋼輸出
3900万3000t(↑14.2%過去最高)
→中国向け高級鋼が好調
品質の高さが世界で評価される日本の鉄鋼
その裏にある国産資源の存在があるという
鉄の主な材料となる
鉄鉱石・石炭 輸入100%
しかし石灰は自給 100%
鉄の純度を高めるために使われるという
新日鉄君津製鉄所 常住勉 広報センター長
「石灰は鉄の不純物を化合させて取り除く大切な役割」
鉄1t作るのに石灰石0.2tが必要だ
炉の中で溶けた鉄鉱石とコークス(石炭)から出来る鉄には
リンや硫黄などの不純物が含まれる
ここに石灰を入れると
不純物が石灰と反応し鉄から分離する
炉の外を見せてもらうと
鉄から分離したスラグ(不純物)が流れ出ていた
→純度の高い鉄が出来上がる
日本政策投資銀行 鍋山徹 産業調査部長
「日本の高機能製品は不純物があってはいけない」
「不純物を取り除く重要な役割を果たしているのが日本の良質な石灰」
「輸出競争力に非常に高い効果を及ぼしている」
製鉄メーカーは国産材の意味を高く評価する
新日鉄君津製鉄所 常住勉 広報センター長
「原料が海外で寡占状態になっているが」
「自給できる事は価格変動もなく安心」
栃木県・栃木市
石灰石の採掘現場に向かった
大叶鉱山(おおがのこうざん)
およそ140年前の明治初期から石灰石が採掘されている
現在も少しずつ発破作業を行い山を切り開いているという
この日の発破で採掘できた石灰はおよそ7000t
吉澤石灰工業 土澤清 執行役員常務
「いい発破でした細かい粒度にできた」
石灰の原石は山の中の構内に設置された破砕機で細かく砕かれる
日本で生産される石灰石は
年間生産量 1億6000万t
埋蔵量 59億t
国内で自給できる数少ない資源の1つだ
*っていっても後36〜37年くらい?
数億年前は海底の珊瑚だった石灰石
海に囲まれた日本の石灰石は質がいい
「世界のあらゆるところにあるが日本の石灰石は非常に高品質」
「酸化カルシウムが多く不純物が少ない」
成分に恵まれた日本の石灰石は技術力で更に磨かれている
千葉・君津市
新日鉄 君津製鉄所
内に建てられている吉澤石灰の炉
ここで石灰がより精度の高い生石灰へと精製される
1000℃以上で石灰石を焼成して水分を飛ばすなどの加工
鉄から不純物をより吸収しやすいよう加工する
炉の温度や風の量を微妙に調整して鉄の生産に最適な石灰の性質を引き出す
そこには職人の技があった
石灰の使い道には鉄鋼以外にも広がりを見せている
千葉・市原市
宇部マテリアルズ
住谷孝幸 工場長
「石灰はこんな最新の電子部品にも使われています」
集積回路に使われるコンデンサー
電気を貯める役割を持ちテレビや携帯など様々な製品に組み込まれている
実は
「コンデンサーの添加剤として高純度の石灰が使われている」
「石灰を使うことでコンデンサーの耐久性が上がる」
「温度の変化にも対応できるようになる」
使われている
高純度石灰
水や薬品を利用して不純物を取り除く
「不純物を取り除く事で99.9%以上の石灰分になる」
「非常に純度が高くないと電子部品には適用できない」
高い付加価値をつけた事で
取引価格(1kg当たり)
通常 10〜100円
高純度 100〜1000円
更に宇部マテリアルズはスマートフォンなど
新しい電子機器に応用する研究も進めているという
電子部品の小型化多機能化が進む中
粒子を小さくする事で取引メーカーの要求に応えている
今後は1/100 1/200と更に細かい粒子の石灰を開発していく予定だ
宇部マテリアルズ 渡邉孝志さん
「日本が唯一誇れる資源」
「ニーズに合った機能や性能無限の可能性を引き出していきたい」
資源小国日本を支える石灰
その可能性は広がっている
*再石灰化成分が石灰?