ワールドビジネスサテライト,1/26,新型耐性菌の感染拡大か
新型
耐性菌の感染拡大か
いま
感染症の研究者が注目するのは
NDM-1大腸菌から見つかった酵素です
インドから世界に広がったとみられます
このNDM-1は
ほとんどの
抗生物質を効かなくする性質を持っています
昭和大学医学部 臨床
感染症学 二木芳人 教授
「飲み薬を飲めば治っていたのが入院して強い薬で治さなければいけない事が」
「将来的に起こるかもしれない」
更に驚くべき特徴がありました
例えばMDN-1を持つ大腸菌に
別の細菌がくっつくとそれらの菌に大腸菌から細い管が伸びて
NDM-1の特性を渡します
受け取った細菌は
抗生物質への耐性を獲得してしまいます
抗生物質が効かないという性質が次々と他の菌に移ってしまうのです
もしコレが毒性の強い細菌に移った場合は
「
赤痢菌とか
サルモネラ菌などは非常に激しい感染症を起こす」
「こいううものが治りにくくなるともっと厄介になる」
日本国内
10年9月〜11年1月 男性1人 女性2人からNDM-1
→女性2人は海外へ渡航せず
国内でも今後
NDM-1が広がる可能性が指摘されています
日本のNDM-1の研究最前線の
新潟大学今回特別に入室を許可されたWBSのカメラ
研究室には世界中から集められたNDM-1が
去年9月国内で初めて検出されたNDM-1を持つ大腸菌も
この研究所では
NDM-1の薬が効かなくなるメカニズムを研究している
新潟大学 山本達男 教授
「今回の大腸菌はよく動いてしかも細胞にくっつきやすい」
新潟大学
NDM-1を持つ大腸菌の撮影に世界初成功
現在フランスの研究機関と共同で研究を進めているが
新たに分かった事があるという
「NDM-1を持つ大腸菌が腹の中に入ると他の大腸菌に1時間以内にうつる」
他の大腸菌に比べNDM-1を持つ大腸菌は感染するスピードが速く
感染力も強いという山本教授
世界的な流行の可能性があると懸念している
「病院以外でNDM−1が広がってしまう」
「世界的な流行力を持っているこの流行力が一番大きな問題点」
山本教授達のチームは早ければ今月中に
各国の医学専門誌に研究内容を投稿する予定だ
徐々に実態が明らかにされるNDM-1
医療機関はどう対応しているのでしょうか
東京・品川
昭和大学病院コチラの病院ではNDM-1に有効とされる
抗生物質が備蓄されているといいます
案内された地下2階の薬剤庫
昭和大学医学部 臨床感染症学 二木芳人 教授
「これが個人輸入した
コリスチン」
「NDM-1などの耐性菌に効く抗生物質」
コリスチン
NDM−1に有効な抗生物質
病院の医師がいざという時に備えアメリカから個人輸入
したといいます
「個人輸入で保険が効かない」
「1本が一万円」
実はこのコリスチン
約60年前に日本で開発
副作用が強く現在未承認
耐性菌の広がりを受け厚生労働省は再承認へ
半世紀以上前に開発した薬に頼らざるを得ない状況
実は新たな抗生物質の開発はストップしているといいます
「(
シプロキサン)コレも80年代に開発された薬」
「この10年ぐらい新薬が全く出てこない」
耐性菌に対応できる新たな抗生物質が
開発されていないのは一体なぜなのでしょうか
「高い開発費をかけても採算が取れない状況が」
「製薬メーカーの積極的な新薬開発に水を差している」
慢性疾患 長期投与
抗生物質 短期投与
メーカーにとっては儲けが薄いともいえる抗生物質
開発が行き詰まるなか二木教授は国の対策が求められると指摘ます
「メーカーは採算を考えざるを得ないので」
「国の政策として研究費や技術の援助をするべき」
*感染力が強く死亡率が高い病原菌と合体したらリアルアウトブレイク化