ワールドビジネスサテライト,7/18,スミスの本棚,吉行和子
GUEST060 女優 吉行和子
映画に舞台に幅広い役を演じてきた吉行
幼い頃から本で育ち
本を読むことが今も役を演じる力になっているという
そんな吉行が推薦する一冊とは
小説楢山節考で知られる作家 深沢七郎
その数奇で破天荒な生涯を
元担当編集者の新海均さんがまとめた一冊です
吉行
「深沢七郎に興味を持っていて」
「小説は楢山節考くらいしか読んでいませんが」
「とっても不思議な人だなって思ってたんですね」
深沢七郎(1914―1987)
日劇ミュージックホールのギタリストから小説家の道へ
しばらく放浪したあと
自分で農場を開き自給自足の生活
深沢七郎は世間の常識や型にはまらない
生き方を貫きました
Q.深沢さんが今いたらどういう存在
「深沢さんが今いたら今の時代」
「コロコロ変わる政権に対して」
「絶対何かやらかすに違いないと思う」
深沢七郎は鋭い独特の言葉で
社会の風刺を続けました
日本初の原子力発電所
東海発電所の着工が始まった1960年には
こんな作品を発表しています
原爆と平和
原子力パン焼き器でパンを焼きながら
爺「なぁ、婆さんやトースターが爆発して大都市が吹っ飛んだそうだ」
婆「アンれ、まあそんなバカげたことが?」(中略)
「そんなら、おいらの家の台所の下の引き出しの中の原子力発電所も、
ひょっとしたら爆発するだんべか?」
爺「そんなこたァなかんべ、
そう云うことがあったという話しだわ、
昔の人はよくほらを吹いたそうだからな」「この時は(原発事故を)想像する人も」
「いなかっただろうし」
「こういうふざけた書き方をする」
「作家はいなかったでしょうから」
「去年の3.11以降みんなが」
「はっと気がついた事がずいぶんあると思う」
「鈍感になっていた自分を思い知らされたと思うし」
「災害は何か突きつけたと思う」
震災と原発事故を経た今だからこそ
重みを増す深沢の言葉
吉行さんはこの本のサブタイトルになった
言葉にも惹かれました
「”淋しいって痛快なんだ”って」
「サブタイトルをすっかり気に入ってしまって」
「いろん事があっても”痛快”に転化するのは正解だと思う」
苦しいことをそのまま受け止め
それをエネルギーにして生きた深沢七郎
「どうしてもみんな」
「世の中人のせいにしたり人のせいにしたり」
「不満ばっかり募ってきて」
「自分の人生はしぼんでいく」
「ひとりひとりが強くなっていかないと」
Q.どういう人に読んでほしい
「やっぱり若い人に読んでほしい」
「嫌なことを変えていく力を持ってほしい」
「痛快に変えてほしい」
”たすき”を渡す人は―
「詩人のねじめ正一さんがいいです」
「もうほんとに少年みたいな人で」
8月1日 GUEST061
詩人・作家 ねじめ正一