ワールドビジネスサテライト,8/23,特集,日本が強い”カスタマイズする農業”
千葉県・富里市
農家では収穫したばかりの
野菜の出荷準備が進められていました
箱詰めされていくのは小松菜
小松菜農家 斎藤知秀さん
「周年栽培で年間250トンぐらいは出荷している」
実は斎藤さんある悩みがあります
「ゲリラ豪雨で降った雨が地下から浸透して」
「ビニールハウスの端のこの辺りまで濡れてしまうので」
「そこだけ著しく大きくなってしまう」
「(成長しすぎて)売り物にならない」
小松菜の規格品 25〜30センチ
ソレを超えると売り物になりません
近年多いゲリラ豪雨
一度の雨で3センチ成長してしまうことも
このハウスの小松菜は
全部捨ててしまうしかありません
しかしそんな斎藤さんの悩みを
解消してくれるモノが最近できたといいます
トキタ種苗 開発育種部 中島紀昌さん
「先日発売したばかりの新しい小松菜の品種」
新しく開発された品種はその名も
”夏の甲子園”
豪雨などで水が多くても育ちすぎない
「ゲリラ豪雨が多い地域とか山沿いで」
「夏にとんでもない雨が降る地域」
「細かく独特の環境があるので」
「当てはまる品種が必要になっている」
これが
”品種のカスタマイズ”
地域特有の気候や農家の要望にあわせて
新たな品種を生み出しているのです
夏の甲子園を生み出した
埼玉・加須市
TOKITA種苗
では
様々なカスタマイズが進んでいました
例えばこんな品種では
トキタ種苗 時田巌 社長
「世界50〜60ヵ国向けに販売している」
「キャベツの苗」
「全部違う品種でここに200〜300種類ある」
「いわゆる(品種の)カスタマイズ」
「ココにあるのはインド向けに開発した品種」
「インドは暑い国で雨も多いのでソレに強い」
「石のように硬いキャベツです」
荷台にそのまま積んで長い距離を運ぶインド
日本のように柔らかいキャベツではつぶれてしまうので
インド向けにこの硬いキャベツが生まれました
イチゴのような形をしたトマトベリー
欧州で葉が縮れて成長が止まるウイルス被害が発生
そこでウイルスに強いカスタマイズをしました
「いま気象が非常に不安定で」
「いつドコでどんな事が起こるか分からない」
「生産者から自分の地域・気候にあった」
「品種改良の要望が最近とみに多い」
この夏アメリカは干ばつに見舞われトウモロコシの生産が
6年ぶりに低い水準に落ち込む見込みです
こうした世界的危機を救うのが
日本のカスタマイズ技術かもしれません
茨城・つくば市
農業生物資源研究所
およそ4万種の稲の品種を保管する
研究施設です
同じ日に植えたのに育つ速度が違うコシヒカリ
など
自由自在
一体どうやってカスタマイズしているのでしょうか
農業生物先端ゲノム研究センター 矢野昌裕センター長
「(稲にある)ひとつの遺伝子を」
「うまく置き換えるようにして作り出した品種」
その方法は遺伝子の解析です
マズはいろんな品種の稲や米粒を砕きます
砕いた粉を様々な溶液に浸すと
稲の遺伝子を含んだ成分が白い塊になります
ソレを機械にかけて遺伝子の構造を解析すると
「2本のバンドが見えるモノは遺伝子として」
「いもち病に弱いことを表す」
「1本だけ出ているモノはいもち病に強い」
遺伝子を解析することで
病気に強い品種や弱い品種を正確に識別することができます
この遺伝子解析技術を生かして
こんなカスタマイズの稲が
「ココにあるのは開発中の品種で」
「南アジアの品種だが遺伝子を1つ置き換えて」
「乾燥に強くさせようとしている」
従来主
病気に強いが根が浅く乾燥に弱い
そこで根を深くする遺伝子を突き止め
その品種と掛け合わせて生まれたのが
南アジア向け稲
病気に強く根を深く伸ばす稲
実験では
37日間水なしの乾燥に耐える
「私たちが注目している遺伝子は稲で使っているが」
「トウモロコシと他の穀類にも同じ遺伝子があることが分かっている」
「この研究がトウモロコシや小麦に波及してくることも考えられる」
気候の変動にますますゆれる世界の農業
日本のカスタマイズする力が
強い農業を生み出すかもしれません
*世界を救うスッゴイ日本人候補じゃねこの人