ワールドビジネスサテライト,12/27,新ニッポンの針路,企業を襲う電力危機
福岡・桂川市
エヌティ工業
総選挙の翌日
自民党圧勝の記事を読んでいたのは
エヌティ工業 尾中盛和 会長
「福岡も自民が圧勝ですね」
「ホッとしました」
尾中会長は今回自民党に投票
その理由はこの工場の中にあると案内してくれた
鉄くずが置かれた場所を通過し
その先の階段を上ってみると
「1460℃ぐらい上がっている」
1度に1tの鉄を溶かすことのできる炉
エヌティ工業
船のエンジンや水門などの部品を製造
これらの作業をする上で
欠かせないのが電気だ
「1時間あたり700kWh」
「家庭で2ヵ月分の電気を1時間で使う」
そんな彼らを突然襲ったのが
11月27日
九州電力本社
九州電力 瓜生道明 社長
「値上げをお願いすることといたしました」
「原子力停止に伴う燃料費の増加は」
「年間5000億円を超えるなど」
「もはや企業努力の限界を超えている」
*それ燃料調達高いのやめてないから?
九州電力の値上げ平均(来年4月〜)
家庭向け 8.51%
企業向け 14.22%
その数日後
エヌティ工業にも通知が届いた
もともと年間4100万円かかっていた電気代が
4600万円になり500万円ほど上がる見込みだという
エヌティ工業 尾中盛和 会長
「もう一大事ですよね」
「これだけの利益を上げられるわけがない」
怒りの収まらない会長はある場所に電話をかけ始めた
九州電力コールセンターだ
「4月からんの値上げはもう決定ですか?」
九州電力の担当者
「私も実際にこういったお願いをするとは」
「夢にも見てなかった状況で」
「製造業のお客様には1割の値上げがどれほど影響あるか・・・」
エヌティ工業
年間の電気代 約4000万円
→来年4月から14.22%値上げ
一部の報道によると
35%に増える可能性もあるという
エヌティ工業 尾中盛和 会長
「こういう説明は我々には届いていないが?」
九州電力の担当者
「平成25年7月以降に順次」
「原発が再稼動することを前提」
「大幅な遅延が生じれば(値上げは)37〜38%になる」
九州電力の試算
原発4基が来年7月以降に再稼動
の前提となっている
そのため再稼動の時期がずれ込めば
さらなる値上げが避けられないというのだ
こうした状況で安倍総理が選挙で訴えたのは
安倍総理
「エネルギーは日々の生活に直結します」
「”これは大丈夫だ”と判断された原発を再稼動していく」
しかし
政権が変わったからといって原発の再稼動はそう簡単ではない
9月に発足した原子力規制委員会
原発の再稼動
規制委員会の新安全基準を満たす必要
その内容を決めるための会議を見ると
かなり激しい議論が行われていた
原子力規制庁 安井正也 緊急事態対策監
「水素爆発で建物が爆発すると隣の施設にも悪影響がある」
「そのために必要なモノとして何を付けるか」
日本原子力研究開発機構 渡邉憲夫 研究主席
「他のシステムを付けると言っているが」
「何をやるにも彼方此方に」
「山のような電源を用意する形になって」
「実現性を考えたときに成り立たないのではないか」
会議のメンバーに話を聞くと
Q.新基準は今までより厳しくなる?
明治大学 勝田忠広 准教授
「かなり要求は厳しいと思っている」
「現段階ではまだまだ(新基準を)満たしている発電所はない」
新安全基準
来年7月に決まる予定
今ある原発がその安全基準をクリアできるのは
いったいいつなのか
「”全てを満たさないと動かせない”という条件であれば」
「(再稼動までに)3〜5年ぐらいかかるかもしれない」
国論を二分する原発問題
新政権の決断は
来年原発を再稼動するのか?
政府が決めなければならない問題は他にも
宮崎市
サングリーンエコ事業協同組合
ある変わった特徴を持っている
大東木材・柴塗装など働いている人が違う会社を経営している
全部で7業種11企業
建設や塗装など地元企業が集まって
この会社を立ち上げたのだ
その理由は
塗装業者
「国の公共工事が減ってきたり」
「売り上げが落ちていた」
そんな彼らが目をつけたのが
いま流行の太陽光発電
今年7月に始まった再生可能エネルギーの
固定価格買い取り制度によって
太陽光発電は1kWh当たり42円で20年間
電力会社が買い取り
サングリーンエコ事業協同組合 今村誠 理事長
「私どもの計算では8年間(で元が取れる)」
しかしソコには意外と知られていない問題も
ソーラーフロンティア 森田和明マネージャー
「42円の買取価格の契約に持ち込むまでの時間が足りなくなっている」
実はこの買取価格
毎年4月に政府が見直し
*罠あったw
「変わった政権が今後どういう対応をするかで」
「(投資の計画が)変わってくる」
懸念するのは買取価格の下落だ
仮に大きく下がればその分事業者の利益が縮小
太陽光発電の普及にも影響が出かねない
サングリーンエコ事業協同組合 今村誠 理事長
「42円は維持してもらえるとありがたい」
ただ一方で買取価格については
こんな意見も
電力中央研究所 朝野賢司 主任研究員
「固定価格買取制度を導入した全ての国で」
「高すぎる買取価格はうまくいっていない」
「それをどのように是正するか」
買取によってかかったコストは
電気料金という形で広く消費者が負担する事になっている
しかし
先行するドイツではこの一世帯あたりの負担額が
ドイツ再生可能エネルギー負担額(一世帯平均)
99年 0.3ユーロ(約34円/月)
13年 15ユーロ(約1685円/月)
10年ほどで当初の50倍近くに増加
家計を圧迫し始めている
「現行の制度は太陽光発電の事業者だけに」
「過剰な利益を与えている」
「40円という水準は早めに20円以下に切り下げるべき」
新たな買取価格が決まるまであと3ヵ月
新政権はどう決断するのか
*まぁ昔アメリカに歯向かってはめられた政治家がいるわけで