ワールドビジネスサテライト,1/30,特集,廃熱で発電”バイナリー℃n動
大分県・別府市
あちらこちらから白い湯気上がります
市内には2300を超える源泉があり
湧き出す量は
全国1を誇ります
そして
一般家庭でも
温泉街ならではの光景が
源泉とパイプでつながり
蛇口をひねると温泉が出ます
ただ温度が高く
冷ますためにわざとかけ流しの状態にしています
斎藤貫之さん
「水道は使った分金を払わないといけないが」
「(温泉は)権利をもらえば流しっぱなし」
家庭に源泉を送っているパイプの1つ
湧出量 毎分1000L
瀬戸内自然シナジー 森川勇 社長
「620メートルの地下から」
「約200度の温度で運んできている」
源泉を所有する
瀬戸内自然シナジー
650世帯に温泉を供給
「地下から自噴して上がってきて」
「タンクにたまったお湯を皆さんに温泉で使ってもらう」
「残った分は捨てている状態」
その温度は90℃以上
半分以上は捨てているといいます
この捨てるお湯を生かす
あるプロジェクトを始めました
温泉のお湯を使った商用温泉発電
国内で初の試みが今週動き始めました
「これが発電の中枢の機械」
「これがなかったらできない」
温泉の湯を使った発電を可能にしたのはこの機械
バイナリー発電という方法で発電します
その仕組みとは
まず水よりも低い低沸点の液体をつかいます
90℃のお湯につけると
激しく沸騰蒸気になります
バイナリー発電はお湯の蒸気ではなく
お湯で別の液体を沸騰させ発生した蒸気を利用して
タービンを回し発電するのです
日本で初めて温泉の湯を使った発電施設
瀬戸内自然エナジー
2月から本格運用に向け試運転
今回の温泉発電のカギとなる
バイナリー発電機
神戸製鋼所が開発
神戸製鋼所 冷熱・エネルギー部 柳瀬祐介さん
「東日本大震災以降 自然エネルギーに対する」
「ニーズの高まりから問い合わせは多い」
この発電機は
一般家庭120軒分相当の消費電力を発電
その電気の行き先は
瀬戸内自然エナジー
九州電力に42円/kWhで売電
太陽光発電と同じです
バイナリー発電
設備投資総額8000万円
再生可能エネルギー買取制度を利用する事で
短期間での回収を見込んでいます
瀬戸内自然シナジー 森川勇 社長
「年間売り上げが約1850万円」
「4年と数ヶ月で元金が返還できる」
「地熱発電の買取は期間は15年」
「希望を持ってやっていける」
*だけど買取価格は4年毎見直しじゃなかったっけ?
経済産業省(28日)
温泉発電の事業化に向け
調査費用を支援すると発表
開発や設備コストが低い
バイナリー発電普及に向けた追い風となっています
一方
発電機を製造する神戸製鋼では
温泉以外にも広めていく方針です
神戸製鋼所 冷熱・エネルギー部 柳瀬祐介さん
「温泉発電とともに」
「産業用廃温水市場を開拓していきたい」
温泉のほかにも大量の廃熱が出る場所があります
工場です
滋賀・甲賀市
近江鍛工信楽工場
で
作っているのは大型の機械部品
鍛造という方法で金属を精製するため
1200℃以上に過熱する工程が必要です
この時
大量の廃熱が出ます
近江鍛工 興津昇蔵 信楽工場長
「200℃くらいは煙突を通じて大気に放出」
1200℃以上になる炉からの廃熱は
まだ温度が高いので省エネのため再び炉の中に戻せますが
一部は200℃前後で煙突から
外に排出されます
工場では今まで捨てていた廃熱についても
利用ができないか検討を進めているのです
先週この工場をある男性が訪ねました
廃熱を利用した発電システムを開発している
ベンチャー企業ダ・ビンチの東謙治 社長
「廃熱利用の問い合わせは非常に多い」
「鍛造炉から出てくる加熱空気を回収して」
「湯を作ることでバイナリー発電が可能」
三重・名張市
ダ・ビンチ名張第二試験場
で
工場廃熱を利用する発電装置を見せてもらいました
「当社で開発しているロータリーエンジン」
「外で加熱した水蒸気の圧力でローターを回転させる」
エンジンに廃熱を利用した蒸気を
2ヵ所から同時に送り込みます
すると中にある凹錐型ローターが
蒸気の圧力で押されて動き出します
この動作を連続させる事でローターが回転します
蒸気機関車のような音を立てて回りだしたエンジン
小型ですが力は強く
ダ・ビンチ”ロータリー熱エンジン”
発電能力10kW
「今は価値のないエネルギーも」
「使わなくてはいけない」
ロータリー熱エンジン
価格1200万円(予定)
「販売することで量産のシステムができるので」
「価格的に下げていくことが可能」
今はまだ捨てられている熱
新たな技術やエネルギーコストの上昇を追い風に
利用に向けた取り組みが加速しています
*手軽に熱発電を体験できる