ワールドビジネスサテライト,2/20,スミスの本棚,安部龍太郎
GUEST 作家 安部龍太郎(57歳)
安土桃山時代の医師
長谷川等伯を描いた小説
で
今年の直木賞を受賞しました
その等伯ゆかりのお寺
京都市上京区
本法時
で
お話しを聞きます
安部
「絵を見るとすばらしい絵師で」
「資料がなくても(小説に)書けると思った」
長谷川等伯の名作「仏涅槃図ぶつねはんず」部分 |
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仏涅槃図(1599年)
妻と子に先立たれた等伯が
その供養の気持ちをこめて描いたと言います
絵を描くためにふるさとを離れた等伯は
戦乱の中で数しれない苦しみを味わいながら絵を描き続けます
そんな等伯の魅力とは
「自分が追い求める表現に」
「一途に向かっていく」
「たくさんの苦悩・苦難がありました」
「怯まずまっすぐ進んでいって」
「松林図という水墨画の最高傑作だと思いますけど」
「そういう境地にたどり着いた」
「等伯の人生の凄いところだと思いますね」
国宝”松林図屏風”
霧に包まれた松林を墨だけで見事に表現
等伯が自身と向き合い
絵に打ち込むことで完成させた名作です
信念を持って進めば道は開けると
等伯は教えてくれます
森本
「新しいモノが意志さえあれば開けてくる」
「それが思いがけない自分を生み」
「また次の道に行ける」
安部
「苦しみは必ず乗り越えられる」
「乗りこえる力は自分の内側にある」
等伯どうよう小説に打ち込み
名作を生み出した安部龍太郎さん
そんな安部さんが薦める一冊は
幕末に活躍した男たちの影で
ひそかに恋の花を咲かせた女たちを大胆にそして繊細に描きます
「この小説の主人公たちは恋によって強くもなり」
「恋によって人生を切り開いていく」
幕末の混乱の中
高杉晋作(1839-1867)
を自分の山荘に匿った尼
野村望東尼
望東尼は高杉との交流の中で
和歌を詠みこの和歌に高杉は心惹かれたとあります
おもしろきことも
なき世の思ひしは
花見ぬひまの心なりけり
「花というのは心の花で心の花は恋なんです」
「恋もしていないから”おもしろきこともなき世”と」
「思って生きているという意味」
森本
「尼さんなので気持ちを殺さなきゃいけないんだけど」
「殺せないっていう」
安部
「恋には理由がない理屈もない」
「この本の主人公たちはみんな走り出す」
恋を切欠に激しく生きる女たちの人生は
楽しそうにも見えると安部さんは言います
「”恋をしてごらん世の中には途端に面白い事ばかりになる”」
「っていうメッセージなんですね」
「恋から遠ざかっている人たちに」
「ぜひとも読んでもらいたいですね」