ワールドビジネスサテライト,3/5,特集,中国一人っ子政策の"限界
1月7日 北京市内
ある建物の前に中高年の男女が集まってきました
ココは
人口と計画出産委員会(国の役所)
女性1
「私たちは子どもが欲しいだけ」
「共産党に迷惑をかけるつもりはない」
「国は豊かに国民は幸福になったが」
「私たちの面倒を見る人はいない」
皆たった一人の子どもを
事故や病気で失った親たちです
役所の職員
「われわれの上司は代表5人と会議室で会うと言っている」
一人っ子政策を採用している中国
一人っ子を失った親たちは
”老後の支える人がいなくなったのは国の責任”
→補償金を要求
女性2
「一人っ子が死んでしまったどうしたらいいの?」
「いま私が入院したら誰も面倒を見てくれない」
女性3
「息子を失った母親は不安で仕方がない」
「共産党はこの状況をどう考えているのか」
一人っ子政策
1979年〜
夫婦1組に子どもは1人(一部例外あり)
毛沢東”人口が多いほど国の武器になる”
→中国の人口が激増
抑える必要に迫られたのです
しかしいま様々な問題が起きています
広西チワン族自治区
満村
の農村の女性を訪ねました
何月連さん(31歳)
地元政府から強制的に
避妊手術を強いられたとネット上で訴えています
何月連さん
「逃げられないよう両脇を抱えられ」
「車に押し込められた」
「病院に運ばれて無理やり手術台に乗せられた」
何さん
2人目を出産→違反とされる
さらに
地元政府が求めた罰金を払えなかったため
今後妊娠しないよう避妊手術を強いられたのです
体にも後遺症が残りました
「歳をとれば病気にもなるので」
「子どもに面倒見てもらう必要がある」
「子どもが多ければ順番で親の面倒を見てくれる」
農村部
労働力として多くの子どもを必要
さらに
社会保障制度が未整備
→老後の生活を子どもに頼る
「一人っ子政策は殺人行為」
「廃止を求めているのにいまだ廃止しない」
「地元政府の役人は計画出産の実績で出世する」
「だから力でおさえ込む」
取材後何さんに頼まれ街まで乗せていくことに
しかしつけてくる車がありました
実は何さんは地元政府によって
常に監視され
携帯も盗聴されているのです
何さんが向かったのは
藤県 人口と計画出産局
月に一度
後遺症の賠償を求めて訪れています
その様子を取材していた我々に
男が近づいてきました
男
「どこのメディアだ?」
取材班
「北京から来た」
「なぜずっと後をつける?」
男
「メディアが来たと情報があったからだ」
「何を取材しているのか知りたいだけだ」
一人っ子政策は
地方の役人にとって出世に深く関わるため
徹底させるのに必死です
役所にはこんな看板が
”優れた子どもを生むため胎児の健康診断は無料”
”欠陥のある子の出生を防ぎ子どもの素質を高めよう”
個人の出産にも深く関与してくる中国政府
一方
一人っ子政策はこんな悲劇を生んでいます
河北省・上泉村
の
ある家庭では48人の孤児を養育
その多くは障害児
中国で捨てられる児童
年間10万人
しかも戸籍がなく
行政サービスも受けられません
夫婦はこの現実を伝えるため取材を受ける予定でした
しかし
当日とつぜん連絡が取れなくなったのです
我々が村に入ってから1台の車が後をつけてきました
どうやらコチラを監視していたようです
記者
「なぜずっと監視している」
村の幹部
「監視ではなく接待しに来た」
「村のトップがこの家に電話して取材を断らせた」
「詳しい状況は知らない」
孤児を引き取る公の施設が整備されず
最近批判の声が強まっています
そのため地元政府は敏感になっているのです
2012年の中国 経済成長率7.8%
13年ぶりに8%を割り込みました
政府が経済成長の不安要因として挙げたのは
中国国家統計局 馬建堂 局長
「2012年に中国は労働年齢人口が初めて減少に転じた」
「我々はこの状況をとても重要視している」
実は一人っ子政策にも関わらず
中国の総人口は増え続けています
一方
働き手の15歳から59歳の人材が
去年初めて減少したのです
人口が増えて労働力が減れるというジレンマ
そんな中あらたな問題が
甘粛省・酒泉市
国が1980年代から
試験的に二人っ子を容認
酒泉市・泉湖村
自らの意思で一人っ子を選択した
農村部のある家族を訪ねました
王艶さん(32歳)
「いまの子供は入学するにも社会に出るにも」
「何でも金がかかる」
「食事 服 遊びで他の子より劣るのは嫌でしょう」
茹恵忠さん(37歳)
「私たちはもはや畑を耕して生活しているわけではない」
「夫婦ともアルバイトで生計を立てている」
茹さん夫妻
2006年まで農業などで生活
現在は夫婦ともアルバイト
収入は3倍に増えたものの
生活スタイルが変化し
教育や住宅に費用がかかるようになりました
茹作新さん(12歳)
「一人っ子でいいよ」
「もしも兄弟がいたら」
「両親が兄弟に小遣いをあげて僕の分がなくなる」
泉湖村一人っ子家庭
10年前 6%→現在 30%超
湖泉村 楊芬萍 婦女主任
「90年代この村で2人目を生むのは」
「年間20世帯ほどいまは7〜8世帯だけ」
「もう一人っ子政策は廃止すべき」
「自分の意思で産まなくなった」
「産ませようとしても産みたがらない」
労働力が減る中
一人っ子政策をやめるべきか悩める中国政府
しかし
子どもを多く産みたがらないという農村で見た現実は
新たな課題を突きつけています
*中国政府に絶望した!