東京・千代田区
みずほコーポレート銀行
今朝時報の音声が鳴り響く中
為替のディーリングルームではいつもとは違う緊張感に漂っていた
まもなくディーラーたちの取引にとって
重要な瞬間が訪れるのだ
時報
”9時55分ちょうどをお知らせします”
若手ディーラー
「本日95ベーシス96です」
若手ディーラーが叫んだのは今日の基準レート
みずほコーポレート銀行基準レート
1ドル=100円96銭
を基本として
顧客との取引を行うことが決まったのふぁ
きのうより2円近くも円安が進んだことで
ディーラーたちにとってはほぼ4年ぶりとなる
1ドル=100円台の取引が始まった
響き渡るのは取引成立を表す
Done(ダン)の掛け声
みずほコーポレート銀行 国際為替部 兼平修一 チーフディーラー
「思いのほか(1ドル)100円抜けた後」
「円安方向に走った」
ベテランのチーフディーラーがこう語った直後
相場はさらに円安に走った
加速する円安の流れ
どうして円はココまで売られたのか
事の発端は9日のNY市場
米国失業保険申請件数
32万3000件(予想33万5000件)
景気回復への期待
これで中央銀行であるFRBの資金供給
つまりドルの供給が終わりに近づくとの思惑が台頭
一気に円売りドル買いの動きが広がった
さらに日本でも
みずほコーポレート銀行 国際為替部 マーケットエコノミスト 唐鎌大介 氏
「日本人が2831億円の外貨建て資産を買っている」
これは財務省が今朝発表したデータ
日本の大口投資家が外国の債券などを買っていることを示唆している
海外の資産を買うためには
円を売ってドルなど外貨を買う必要がある
つまり
円安の流れを引き起こすのだ
「別の言い方をすれば2831億円分の円売りが出ている」
「金額は大きくはないがこうした動きが続くのでは」
「加速するのではとの思惑から円安が進んでいる」
この円安を受け東京株式市場では
株価がほぼ全面高に
日経平均はほぼ5年4ヵ月ぶりに
14607.54円 +416.06
を
回復した
BNPパリバ証券 丸山俊 日本株チーフストラテジスト
「(1ドル)100円を今後の下値レベルとして」
「円安が定着すると考えて」
「(日経平均株価は)1万5000円を6月末までに奪還する可能性は高まった」
円安株高で企業業績にも変化が起きています
午後3時ごろ
日産グローバル本社
決算発表会で
日産自動車 カルロスゴーン社長
「ついに普通の領域1ドル=100円に入ってきた」
日産 2013年3月期
純利益3424億円(前年比↑0.3%)
国内や中国で苦戦した中での増益の要因は
やはり円安です
日産は
ドルが1円円安→150億円の利益
日産 2014年3月期見通し
純利益 4200億円(前年比↑22.6%)
Q.円安の流れとしてアベノミクスがあると言われているがどう評価するか
「これまでとにかく為替レートの逆風をなくしてくれと懇願してきた」
「2008年からお願いして実現した称賛に値する」
「アベノミクスは日本を世界の中心にした」
一方
電機メーカー大手パナソニックの決算
パナソニック 2013年3月期
2年連続 7000億円以上の最終赤字
巨額の最終赤字となりましたが
パナソニック 河井英明 常務
「いまの為替が1年続けばマイナス要因を入れても」
「300億〜350億円営業利益が押し上げられる」
円安の影響で
パナソニック 2014年3月期見通し
純利益 500億円(黒字転換)
「デバイス(コンピューター周辺機器)でプラス影響が大きい」
「ただ為替は動く中長期では」
決算発表がピークを迎える中
円安を追い風に
東証1部上場企業(金融除く)
2014年3月期51.5%増益の見込み(SMBC日興証券9日集計)
専門家は更なる業績の改善を予測します
野村證券エクイティリサーチ部 松浦寿雄 氏
「会社が想定している為替レートは今90円か95円が多いが」
「今の円ドルレートは100円でかなり乖離が出ている」
「110円までは同じような環境で円安ドル高でポジティブに効く」
円安の要因のひとつ大規模な金融緩和を決めた
日銀 黒田総裁
「為替レートをターゲットにしているわけではありませんので」
「為替は市場で決まっていく」
「緩和を続けている中で経済がバランスの取れた形で成長していく」
円安が企業の業績に変化をもたらす一方で
こんな動きも
東京・港区
ラッキーコレクション
店員
「開店してすぐ何件も問い合わせがきた」
「いつもより多かった」
こちらのチケットショップでは
外貨の両替に訪れる人が増加
特に多かったのは円安ドル高を受け
ドルを日本円に交換する客の増加
両替額が普段の10倍
ラッキーコレクション 伊集院浩二 社長
「100ドル札50枚で49万5550円支払った」
この場合1ヵ月前より
3万5000円高く両替
一方で
円安は歓迎とばかり言えない面もあります
身近なモノの値上がりです
家庭用食用油 30円以上↑(1キロ当たり)
ごま油 10%↑
シーチキン缶詰 最大6%↑
マヨネーズ 最大9%↑
業務用小麦粉 145円↑(25キロ当たり)
ティッシュペーパー 15%↑
トイレットペーパー 15%↑
コンピューター用メモリ 2倍以上(去年12月比)
電気料金 最大221円↑(一般家庭5月)
ガソリン代 10円↑(去年11月比1リットル当たり)
こうしたエネルギーの値上がりは
企業側も消費に悪い影響が出ると懸念しています
エアアジアジャパン 内山正明 副社長
「燃油費のインパクトはすごく大きい」
「コスト増をどれだけ圧縮できるかが経営のキーポイントになってくる」
三越伊勢丹ホールディングス 大西洋 社長
「あまり円安が進むとエネルギーの問題コストが跳ね上がるので」
「消費者の家計にも関わるので循環して購買力に関わってくる」
一方
為替の変動を考慮し低価格を実現する企業もあります
昨日から始まった松屋の紳士服のセール
銀座の男市
ソコには驚きの看板が
イタリアの生地を使ったウールシルクスーツ 2着で29800円
その秘密は
松屋 銀座本店 宮崎俊一バイヤー
「生地を昨年の11月までに輸入している」
「決算を円高のうちにと11月までに決算している」
生地の約9割を海外から輸入
→円高のうちに安く購入
さらに
「国内縫製している」
「(国内縫製を)去年の同時期に比べて生産量で約3割アップ」
円安の進んだ去年12月以降
縫製の作業 海外→国内
円安の影響を抑えました
「円高の時は高級なイギリスやイタリア製を安く買おうという流れで」
「(円安では)客も日本製と海外製を比べ慎重に買うので流れが変化」
円安対応
国内の生地縫製を増やす
急激に進む円安の流れ
いったいドコまで進むのか
シティバンク銀行 シニアFXマーケットアナリスト 尾河眞樹 氏
「100円の節目を超えたのは意味が非常に大きく」
「市場参加者の心理に与える影響が大きい」
「そうなるともう90円台に入りづらくなっている」
このまま円安が続くとの見方が強い
みずほコーポレート銀行 国際為替部チーフディーラー 兼平修一 次長
「今後2ヵ月以内に安倍政権は選挙を迎えるわけだから」
「円安株高のムードを維持したいと思っているはずなので向こう2ヵ月で」
「(1ドル)105円というのが心理的な節目になる」
1ドル100円突破について欧米の反応
米ウォルストリートジャーナルと英フィナンシャルタイムス
”年末までに円は110円まで下落する”との見通しを紹介
米自動車業界団体
"日本が為替操作を行っていることを裏付ける”
”アメリカの輸出と雇用が失われる”
”日本をTPPには入れてはならない”と訴えました
*このままだとNISA来るし普通に働いててもダメだね