ワールドビジネスサテライト,11/22,特集,治る最前線,第29回,肺がんをピンポイントで治療
三重県・津市
三重大学医学部付属病院
で
肺がんの新しい治療が始まっている
患者(60代)は
15年前から肺がんの再発を繰り返し治療を続けている
患者1
「51歳の時に手術で肺がんを取った」
「本人は全然分からないが先生が診て分かる」
去年10月肺がんが再発
片方の肺が小さくなっているのは
コレまで2度手術したためだ
肺がんの患者数 約14万人
60代から急増する
主な原因は
喫煙そして大気汚染も原因の1つと言われている
三重大学付属病院 IVR科 山門亨一郎 准教授
「血痰で見つかることがある」
「痰に血液が混ざる」
「基本的に症状が出るとかなり進行した」
「がんであることが多い」
「手術で何回もがんを取ると必ず呼吸機能がかなり落ちる」
「再発した場合 再手術・再々手術が難しくなる」
早期発見が難しく
再発した場合も治療が難しい肺がん
命を落とさない為には
どうすれば良いのか
肺がん治療の最前線を追った
先ほどの患者はすでに手術で肺を1/4ほど切除しているため
呼吸機能が落ちコレ以上手術ができない
ソコで新しい治療を受ける事になった
治療に使うのは細い針にコードがついた器具だ
今回の治療は
ラジオ波焼灼療法
肺がんに刺した針と太ももに着けた電極の間に
ラジオ波と呼ばれる高周波の電流を流し
およそ50℃の熱でがんを焼き殺す仕組みだ
治療ではマルチスライスCTという
最新の検査装置も使う
治療中に肺をリアルタイムで撮影しながら
針を刺すのだ
肺は呼吸で10センチ程度動くため
がんに針を正確に刺すのが難しい
そこで
CTで肺の動きを撮影し
がんの位置を正確にとらえるのだ
治療が始まった
医師がCTで撮影した画像を見ながら
慎重に肺に針を刺していく
がんの中心に針が刺さった
ラジオ波発生装置のスイッチが入った
およそ
10分間かけてがんを焼いて行く
針を刺すだけなので患者の負担が少なく
再発しても繰り返して治療ができる
CT画像を見ると
ラジオ波で焼けた部分が白く映っている
3cm以下のがんなら治療可能だ
およそ40分で治療が終わった
患者は3日ほどで退院できる
現在保険が効かない為
治療は約30万円かかる
別の患者の治療画像
5年後焼いた部分がかさぶたのようになり白く映っている
がんは消えた
この病院ではコレまで1500例行い治療成績
90%でがんが死滅(直径3センチ以下)
「再発してもまた再発部位を治療できる」
「ピンポイントで攻撃していけば」
「かなりの人が恩恵にあずかれる治療」
肺が呼吸で動くという課題を克服し
患者の負担がさらに少ない治療法も登場している
京都市左京区
京都大学医学部付属病院
動体追尾放射線治療と呼ばれる最新の治療だ
患者(70代)は高齢で
また心臓に持病を抱えているため手術ができない
そこで
この新しい治療を受ける事になった
機械の上部には
2台のX線カメラと放射線照射装置が付いている
このX線カメラで肺の動きを捉え
治療する仕組みだ
肺の動きを捉えるために使うのがこの小さな純金
患者はこの純金を
1週間前に内視鏡を使ってがんの近くに埋め込んでいる
純金が定着するまで1週間ほど待つ
X線カメラで目印の金を撮影し呼吸で動く肺がんを追尾
放射線をピンポイントで照射する
コレまでの放射線治療は
がんが動いても放射線が当たるように広い範囲に照射していた
そのため
肺の近くにある心臓や食道など
正常な臓器を傷つけるリスクがあった
新しい治療はがんを追尾し照射するため
周りの正常な細胞に当たる放射線を減らす事ができる
5cm以下の早期がんが治療対象だ
治療が始まった
医師たちがモニターを見ながら
照射位置を確認する
(画面の)ピンク色の枠で囲まれた範囲が
放射線を当てている部分
呼吸に合わせて放射線の照射範囲が動いているのが分かる
がんをピンポイントで狙い撃ちするため
強い放射線を当てる事ができ治療効果も高いという
30分ほどで治療が終わった
治療はがんの大きさに合わせて
4回から8回繰り返す
この治療
2012年から保険適用
別の患者の検査画像
治療前と治療3ヵ月後を見ると
がんがほとんど消えているのが分かる
治療成績
20例の治療→再発1例
京都大学医学部付属病院 放射線治療科 平岡真寛 教授
「早期で見つかっても良い治療法がなくて」
「命を落としていった方が結構多い」
「手術できない患者には非常に大きなメリットがある」
患者が増え続ける肺がん
負担が少なく正確に治療する技術が日々進化している
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