ワールドビジネスサテライト,3/17,特集,医薬分業は誰のため
都内を中心に調剤薬局を150店近く展開する
薬樹
いま力を入れているのが調剤した薬を届ける
訪問薬局です
この日訪れたのは在宅治療を行う患者の自宅です
4年前にがんで上あごを切除した長田美奈子さん(80歳)
現在月1度の訪問薬局を利用しています
訪問薬樹薬局 瀬谷 井上俊 薬剤師
「どうです薬はうまく飲めていますか?」
薬剤師の井上さんは
服用薬の飲みにくい薬がないかをチェック
また
症状を見ながら患者に医師がどんな薬を処方しているか説明する事もあります
長田いくおさん
「自宅にいる患者は訪問してくれる人に支えられている」
「訪問の薬剤師はいろいろと勉強させてもらってありがたい」
薬剤師の訪問料金
1回 503円(介護保険利用)
高齢化で薬局に足を運ぶのが難しい患者が増えている今
薬剤師の役割も変わりつつあると言います
薬樹 小森雄太 社長
「薬を売るより健康を守ることが本来 薬局が果たす役割」
「実績を積み重ねて頼りになる存在として」
「地域に根差していく必要がある」
地域の健康を支える薬局
薬局が果たす役割は重みを増しています
薬局が存在感を増す背景にあるのは
医薬分業
医師 処方箋を交付
薬局の薬剤師 処方箋に基づき調剤
医師と薬剤師が専門分野を分担
投薬などの安全性を高める仕組み
医薬分業が進むにつれ薬剤師の地位も高まりました
「健康に導く医師が車のエンジンなら」
「薬剤師がナビゲーターやブレーキ」
「医薬分業 両方のスペシャリティーを発揮できる」
*薬剤師が処方箋に異を唱える事なんてほとんどありませんけどね
医薬分業が進み始めたきっかけは
1974年 処方箋の診療報酬を大幅に引き上げ
当時薬の代金を目当てに
病院が患者に過剰に薬を処方する事が問題とされていて
医薬分業はこの問題を防ぐ目的もありました
厚生労働省の後押しもあり現在は
分業率は処方箋全体の67.0%
ただ
医薬分業の規制
原則 病院と薬局が同じ建物や敷地内に併設してはならない
その結果
大きな病院の門前には多くの薬局が立ち並ぶことに
こうした現状にに先週
政府の規制改革会議が問題を提起しました
規制見直し 日本総研 翁百合 副理事長
「患者の視点に立てば構造が物理的に離れている必要はないのでは」
規制賛成 日本薬剤師会 森昌平 副会長
「(薬局が)医療機関と一体化した構造になると」
「機能的に特定の医療機関のモノになってしまう」
規制見直し 大阪大学大学院医学系研究科 森下竜一 教授
「私の患者は車いすの方が多い」
「大きい道路を渡って前の薬局に行けるのかと?」
規制改革会議
医薬分業の規制を見直すべきとの意見
医薬分業に異を唱える病院があります
大阪・此花区
大阪暁明館病院
外来患者 1日平均460人
此花区唯一の総合病院
受け付けのカウンターにはお薬の文字
薬局です
一昨年移転をきっかけに
院内処方
病院内で処方から調剤まで一貫して行う
に切り替えました
大阪暁明館病院 西岡崇治 事務長
「患者の意向を取り込んで医薬分業が始まったのではないと思う」
「行政の方向性とずれがある」
「変わった病院とみられるかもしれないが」
「あくまでも患者の意向を取り込みたい」
大阪暁明館病院
患者205人にアンケート
院内処方を望む87%
病院の中に薬局があるのは利便性だけではありません
大阪暁明館病院 大隈奈奈 薬剤師
「カルテで体重を確認して(薬の)量が正しいかどうかを確認」
電子カルテには
体重・体温・症状などが詳しく記入されています
「院内であれば電子カルテで患者の情報がすぐに閲覧できる」
「処方内容で疑問があった場合とか前回の処方などが見られる」
では医薬分業で高まるとされる安全性については
大阪暁明館病院 西岡崇治 事務長
「重複処方の確認は院内でもともとできている」
「医師に問い合わせるまでもなく電子カルテを閲覧すれば」
「処方意図は分かる」
同じ病院でも医師と薬剤師が専門分野を分担し
安全性を高めることは可能だと言います
さらに
「調剤料が少ないのでコストメリットが患者にある」
医薬分業を進めた結果
実は患者負担は増しています
例えば
診療報酬(内服薬7日分)
| 院内処方 | 院外処方 |
病院 | 処方料 420 調剤料 90円 その他 210円 | 処方箋料 680円 |
| 720円 | 680円 |
薬局 | なし | 調剤基本料 410円 調剤料 350円 薬剤服用履歴管理指導料 410円 |
合計 | 720円 | 1850円 |
まったく同じ処方でも
院内なら720円が院外だと1850円もかかる計算です
厚労省
医薬分業推進のため院外処方で
病院 薬局の両方が利益を得られる仕組みに
患者にコスト負担を強いている医薬分業の費用対効果については
規制改革会議でも議論となりました
規制改革会議 太田弘子 議長代理
「医薬分業の費用対効果をどう検証しているのか?」
厚生労働省 吉田学 審議官
「費用対効果は・・・今の時点で示せる数字は持っていない」
費用対効果の面でも患者側のメリットを十分アピールできない現在の医薬分業
患者目線でもう一度見直す時期に差し掛かっていると言えそうです
*まぁ受け皿はドラッグストアがあるから大丈夫じゃない