ワールドビジネスサテライト,9/18,特集,"地方の駅弁"が大ピンチ!?
東京駅
駅弁屋祭
レジの前には駅弁を手にした客の
長い行列ができていました
北海道かわ沖縄まで
およそ170種類の駅弁が揃っています
一番人気がこちら
山形 牛肉どまん中 1150円
山形米どまん中にそぼろと牛肉を乗せた
牛丼弁当1日500個が売れると言います
1日500個が売れると言います
こちらは
新潟 えび千両ちらし 1300円
敷き詰められた厚焼き玉子の上にエビやウナギが
見た目にも楽しい駅弁です
さらに
大人のハイボール&カラアゲ弁当 1100円
(セット購入で角ハイボール缶50円引き)
というコラボ弁当も登場しています
Q.駅弁屋はよく利用するか
客
「必ず来ます」
「2人だけど3個です」
ポーランド人
「素晴らしいわ広いしいろいろな食べ物があるのね」
駅弁屋祭
売り上げ 46億5000万円(14年度)
今年は1割ほど伸びていると言います
駅弁屋祭 津野田隆正 店長
「最近はお土産や自宅に持って帰って食べる人も多くなっています」
ところが今
駅弁業界ではある問題が深刻化しています
新潟・上越市
第三セクターの直江津駅です
改札の中では駅弁を売る人の姿がありました
人気の駅弁が鱈めし 1200円
この地域の郷土料理です
棒ダラの甘露煮風や半生の塩たらこなどタラ尽くしです
2012年のコンテストで優勝した駅弁ですが
Q.最近の売り上げは
鱈めしの駅弁店 ホテルハイマート 下井道夫さん
「1/3くらい今までの」
「旅行客がほとんどいない」
売り上げが激減した背景にあるのは
北陸新幹線の開業です
直江津駅には以前
越後湯沢と金沢を繋ぐ1日13往復の特急はくたかが停車
長野や新潟に向かう中継点でした
しかし
直江津駅の南側を走る北陸新幹線が開通したことで
この特急はくたかが廃止されてしまったのです
鱈めしの駅弁店 ホテルハイマート 山崎邦夫 社長
「死活問題」
「金沢―越後湯沢の特急があったのは大きかったが」
「それが無くなってしまった」
経営が厳しいのはここだけではありません
かつては地元の業者が駅のホームで駅弁を販売していました
しかし
新幹線をはじめ鉄道の高速化が進み
そうした光景はあまり見られなくなっています
駅弁事業者
1970年 約430社 → 2015年 約93社
と激減しているのです
山梨県
小淵沢駅のそばにある
丸政
1918年から駅弁を製造販売
看板商品
元気甲斐 1500円
2段重ねの
炊き込みご飯や山菜を使った懐石風の弁当です
しかし
丸政の売り上げ
87年度 10.6億円 → 08年度以降は 6億円台に
原因は地元業者が特急電車に弁当を持ち込んで
車内販売をする事ができなくなったからです
そうした中
2011年に社長を継いだのが4代目の名取正義さん
その名取社長が生き残りをかけて
目を付けたのが駅弁を東京で販売する事
あの駅弁専門店祭で
弁当を置かせてもらいましたが当初は思うように売れませんでした
丸政 名取正義 社長
「牛肉とか海鮮ものは非常に強い産地があって」
「山梨はそこまで食材で戦えるというわけではない」
誰もが知るブランド牛や魅力的な海の幸がつまった駅弁と比べて
知名度がなく売れなかったのです
そこで
名取社長はこの駅弁店を徹底的にリサーチ
するとある事に気づいたのです
「同じ1000円や1500円の弁当で」
「戦うのではなくて」
「価格は少し安いけれど軽食や朝食に使えるものを強みにしたい」
名取社長が狙ったのは
軽食や朝食向けの駅弁
それが
清里高原カツサンド 650円
駅弁専門店の祭では最も安い価格帯です
使ったのはこれまでと同じ山梨のブランド豚ですが
手ごろな価格のカツサンドにすることで
差別化を図ったのです
これが見事に的中
女性や高齢者の軽食弁当として年間8000万円以上が売れ
会社の売り上げを引き上げる事に成功したのです
「勝てるものを探してそこに商品を打ち出していきたい」
一方
JR側も駅弁業者を支援する取り組みを進めています
東京・港区
JR東日本グループ 日本レストランエンタプライズ
は
駅弁店祭の横にその場で調理して
出来立ての駅弁を販売するスペースを設けています
そこに
丸政の名取社長の姿がありました
ココで2週間駅弁を作りながら
PRできます
駅を使う大勢の人目に留まりやすく
無名の駅弁でも知名度を上げるチャンスとなるのです
駅弁屋 祭 津野田隆正 店長
「地方の駅弁会社に東京に来てもらって」
「いろんな人にこういう駅弁があるんだよと知ってもらう機会にしていただければ」
昼前になると厨房の前には行列が
調理が間に合わないほど作ったそばから売れていました
そして
あの直江津の鱈めしも明日からこの東京駅の駅弁専門店で
販売されることになった
NREでは今後も
地方の駅弁業者を支援していきたいと考えています
日本レストランエンタプライズ 浅井克巳 社長
「地方の駅弁を守るんだと」
「そのためには地方の駅版をたくさん仕入れて」
「たくさん売るということを努力したい」
ブームの陰で苦境に立たされている地方の駅弁
生き残りをかけた模索が続いています
*もう本来の需要は無くなりつつあるんだ